Tomoko's Room

あきのかおり

さっちゃんと、ぼうちゃんは、とても仲良しな姉弟です。 今日は待ちに待った、お父さんのお仕事が、おやすみの日。 「お父さん、遊んで。ねえねえ」 　　　　さっちゃんは、お父さんに、 　　　　甘えてべったりと、くっついて言いました。

「サア、散歩に出かけよう」 　　　　お父さんは、お外を指差して大きな声で言いました。 　　　　ぼうちゃんは、もう玄関のドアを開けていました。 「まってー」 　　　　さっちゃんも、あわてて靴をはきました。 　　　　外に出ると吹いてくる風が、ちょっぴり冷たくなってきました。 　　　　　　あの夏の暑さは、いったいどこへ行ったのでしょうか。 　　　　木の葉が風に揺られて、はらはらと散ってきました。 「ぽと、ぽと」 　　　　何の音でしょう。 　　　　　　　　　　さっちゃんは、耳を澄まして立ち止まりました。 「ぽと、ぽと」 　　　　あわてて、音がしたほうを振り向くと・・・・ 　　　　そこにはどんぐりが落ちていました。 <>「ぼうちゃん、どんぐりだよー」 　　　さっちゃんが大きな声で叫ぶと、 　　　　　　お父さんとぼうちゃんが振り向きました。 「よくみつけたね」 「あのね、どんぐりが落ちてくる音がしたの」 「え？」 　　　　　３人はどんぐりが落ちてくるのを 　　　　　耳を澄ませて・・・　 　　　　　　　　　目を閉じてじっとたっていました。 　　　でもなかなかどんぐりが落ちてきません。 　　　　　風が、そっと３人の間をとおり抜けました。 「あ、きんもくせいの香りだ」 　　　　　とお父さんがポツリとつぶやきました。 「きんもくせいのかおりをかんじたら、 　　　あー秋だなと思うね。 　　　　　そうだ！ 　　　　　　　さっちゃん、ぼうちゃん、 　　　　　　　　　　秋の香りを探そうよ」 「あきのかおりって？！」 さて秋の香りって何でしょう。 　　　　　　さっちゃんと、ぼうちゃんは、 　　　　　　鼻をくんくん、くんくんとさせて、 　　　　　　歩き回っています。 　　　　　　それはまるで、 　　　　　　子犬が２匹歩いているようでした。 　　　　　　お父さんは、おかしくなって、 　　　　　　思わず笑いました。 「お父さん笑わないでよ。しっかり探してよね」 　　　　　　さっちゃんが、 　　　　　　ぷーと、ぽっぺをふくらませていいました。 くんくん、くんくん・・・・ 　　　　　　二人はまだ秋を見つけることができません。 くんくん、くんくん。 　　　　　　いつもの原っぱにやってきました。 くんくん、くんくん。 　　　　　くんくん、くんくん・・・・ 「あ、見つけた」 「なに、なに」 　　　　　お父さんがあわてて、さっちゃんの方に来ました。 「あれよ」 　　　　　さっちゃんが指をさしたほうを見ると、 　　　　　一台のトラックがありました。 「いしやきいーも、おいも、 　　　　　　　　　おいも、おいもー、焼きたて」 　　　　　なんと？！　さっちゃんが、見つけた秋の香りは、 　　　　　焼き芋でした。 「おとうさ&#12336;ん、かってよ。おいも」 　　　　　ぼうちゃんが、お父さんに、おねだりをしました。 　　　　　お父さんは、しかたがないな、という顔をして 　　　　　お芋を買いに走っていきました。 「おいも、おいもおいしいな。」 　　　　　ぼうちゃんが、鼻歌を歌いながら、お口いっぱい 　　　　　あけて食べています。 「ぼうちゃん、一度に食べたらのどに詰まるよ」 　　　　　お父さんは、はらはらしながら言いました。 　　　　　さっちゃんも、ほっぺをピンク色にして、 　　　　　夢中で食べています。 「秋っておいしいね」 　　　　３人仲良くお芋を食べました。 　するとお父さんが 「まだ、秋の香りはあるかな」 　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　といいました。 　おなかがいっぱいになったところで、 　　　　　　　　　　　　　再び秋の香り探しを始めました。 くんくん、くんくん。 「なかなかないなー秋の香り」 くんくんくんくん。。。。。 　　　　　　　くんくんくん。。。。。 「さっちゃん、ふかーく深呼吸してごらんよ」 　　　　　　お父さんが深呼吸をしながら言いました。 「ぷー」 「何の音」 　　　　　　さっちゃんが、首をかしげていると、 　　　　　　　　ぼうちゃんが、顔を手のひらで隠して、 　　　　　　　　　　恥ずかしそうに下を向いています。 「あ、くさーい。ぼうちゃんでしょう。 　　　もうやめてよ。 　　　　　　秋の香りがぼうちゃんのおならになっちゃう」 　　　　　　３人で顔を見回して、大きな声で笑いました。 くんくん、くんくん、ふー。 「秋の香りは、どんなのかな」 　　　　　　　　　　　　　　くんくんくんくんくんくん。 「あ、この香りは」 「さっちゃん、またみつけたの」 　　　　　お父さんは、感心して、 　　　　　　　　　　　　さっちゃんの顔を覗き込みました。 「あっちのほうからするよ。 　　　　お父さん、ぼうちゃん、早く来て。 　　　　　　　　あっちへ、いってみようよ」 　　　　　　原っぱを抜けて、 　　　　　　　　家々が立ち並んでいるところにやってくると 　　　　　　　　　　秋の香りが強くなってきました。 　　　　　　ぼうちゃんが、舌をぺろぺろ出して、急いで走っています。 　　　　 　　　　　　その香りは、一軒だけではなく、 　　　　　　　　　あちらこちらからも、香ってきます。 　　　　　　もくもくと煙が換気扇から出ています。 「サア、秋の香りは何でしょう」 　　　　　　　さっちゃんが、胸をはって言いました。 「秋刀魚を焼く香りか。 　　　　　　　そうだね、これも秋の香りだね」 「ぼうちゃん食べたいよ」 「え、さっきお芋を食べたのに・・・、 　　　　　　　　　　また、おなかがすいたの・・・」 　　　　　　　お父さんは、驚いて、 　　　　　　　　　　ひっくり返りそうになっていました。 「秋の香り探しって楽しいね。 　　　こんなにあるとおもわなかったよ。 　　　　　　　　　　　まだ探したいな・・・・」 　　　　　　　と、さっちゃんが言うと・・・ ぼうちゃんは、 「もうかえろーよ。かえる」 　　　　　　　と、いって、 　　　　　　　　　お父さんのズボンを引っ張ってました。 風がだんだん冷たくなってきました。 　　　　空はゆうやけがとてもきれいです。 「明日もお天気かな。 　　　　　お母さんが待っているよ。 　　　　　　　　　　サア帰ろうか」 　　　　　　　　　　　　　　　お父さんが静かに言いました。 「ただいまー」 　　　　　　二人は、元気よく、お母さんに飛びつきました。 「あのね、お母さん秋の香りを探していたよ」 「ぼうちゃんおなかすいた」 「はいはい、 　　　　サアご飯にしましょうね。 　　　　　　　　きょうのおかずは・・・」 「秋刀魚の塩焼き」 　　　　　　　　　みんなで声を合わせて大きな声で言いました。 　さっちゃんとぼうちゃんのおうちも秋の香りでいっぱいでした。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おしまい

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ＴＯＭＯＫＯの世界にようこそ

取材実績

２０１０－２０１３年
　∟ 八王子市と協同企画開始
　∟ しゅう太くんが絵本になる
　∟ 八王子市長より感謝状授与
　∟ 毎日・朝日・読売・産経新聞に掲載
　∟ 日本教育新聞に掲載
　∟ 八王子テレメディアの取材
　∟ ＢＳ日テレの取材
　∟ 小学校等での読み聞かせ授業
　∟ 東京・毎日・朝日新聞に掲載
　∟ 公開授業・読み聞かせ授業拡大

２０１４年
　∟ 中居正弘のミになる図書館　出演