たたかえ!ぼうちゃんマン 虫歯菌の巻

ぼうちゃんは、もうすぐ、3歳になる元気な男の子です。

最近、お母さんの言うことを聞きません。

こまった、こまった・・・・・・。

「おもちゃをおかたづけして」

「だめ、いやや」

「おふろにはいるよ」

「だーめ。いやいや」

「ぼうちゃん、ごはんよー」

「だめー」

ぼうちゃんは、お母さんに何を言われても・・・

「イヤーイヤー」
「だめーだめー」

としか言いません。こまった、こまった・・・・
「ぼうちゃん、もうねんねのじかんだから、
はみがきしようよ」

「いや~、だめ~っ!」

このときぼうちゃんの口の中では・・・。

「へへへ、ばーかめ。
ここは居心地がいいな。おい、むしばきち」

「へい、大王様、お呼びでしょうか」

「ぼうちゃんの口のなかは、
はぶらしがこないからいいなあ~。
おれたちには最適やな」

「そうですね、大王様。
この子供の歯が
なんともいえないおあじで」

むしばきちがうっとりとぼうちゃんの歯をなめてます。

たいへーん、たいへーん。

ぼうちゃんのお口の中は、虫歯菌のむしばきちという、ずるがしこそうな者、
そして、大きなふとちょで、食いしん坊のむし歯大王に支配されています。

お母さん気がついて!
ぼうちゃんがむし歯吉たちにやられちゃう。

そんなこととは、知らずににぼうちゃんはあまーいジュースが大好き。

ぼうちゃんは、じゅーすをゴクゴク・・・・・・

「むし歯吉、きたぜ!
このジュース、べとべとして最高。
歯にくっついたあじは、
俺たちにしかわからないぜ!」

「あっしは、虫歯菌に生まれて
よかったっす。大王様」

ぼうちゃんは、こんどは、あめを食べました。

「あめが・・・・キターーーーーーーっ!
お口の中がずーっと甘いぜ」

虫歯菌たちは大喜びで宴会を始めました。

「ぼうちゃん、もうおやつはやめなさい。
いますぐ、ちゃんと歯を磨くのよ」

「いやあ。だめえ」

ぼうちゃん、また歯を磨かなかった・・・こまったこまった。

そのころ、お口の中の虫歯菌たちは

「そうそう歯を磨くなよ」

といい、大きくなったおなかをさすったかと思うと・・・・
満足そうに眠ってしまいました。

さあ今日はいよいよ、ぼうちゃんの3歳児検診の日です。
お母さんはぼうちゃんの手を引いて、
バスに乗って、保険所にやってきました。

「どれどれ、ぼうちゃん、大きくなったかな~」

お医者さんと、看護士さんが、
ぼうちゃんの体の大きさを測ったりして
成長の記録をつけていました。

「次は歯科検診ですよ」
看護士さんが、お母さんに声をかけました。

ぼうちゃんは・・・あいかわらず・・・

「いやいや」 していますが・・・・

大事な検診なので、
お母さん必死で、ぼうちゃんを押さえて
先生に診ていただきました。

こまった、こまった。

「お母さん、大変なことになってますよ。
ぼうちゃんの歯が虫歯になっています。
気がついていましたか」

「え!ほんとうですか」

「きちんと、大至急、
歯医者さんに行って治してもらってください」

お母さんはショックで言葉が出てきませんでした。

そのころ・・・
ぼうちゃんのお口の中では・・・

「大王様大変です。
どうやら、あっしたちのことが
ばれちまったようです」

「なに!!
でも、このぼうちゃんが、
歯医者さんにいって、口をあけるかな。
どうせ・・・・いやいやして終わりだ!!
安心して、暮らそうぜ」

あらあら、大王様すっかり油断して・・・
引越しの準備はしなくてもいいのかしら・・・

「ぼうちゃん、おくちのなかにね。
ばい菌が、いっぱいいるから、
歯医者さんに行って
やっつけてもらおうね」

お母さんは意を決して
ぼうちゃんを歯医者さんに連れて行きました。

でもでもぼうちゃんは・・・いつものように・・・・

「いやあ、だめえ」
といってお口をぜんぜんあけてくれません。

こまったこまった・・・・どうするお母さん。

「ぼうちゃんはつよーい男の子だからね、
ばいきんをやっつけてみて~。
もう歯ブラシでは、治らないぐらい
虫歯菌が大きくなっているから、
先生にやっつけてもらいましょうね。」

「ぼうちゃん、むしばきんとたたかってね。
でも・・・・虫歯菌も強いから、
ぼうちゃん負けちゃうかも・・・。
ぼうちゃんできるかな」

すると、ぼうちゃんは、目をキラキラさせて、

「ぼうちゃんは、つよい!」

とつぶやきました。

なんと!なんと!
ぼうちゃんは、大きくお口をアーんと、あけました。

「まぶしい~!
大王様大変です!!
ねている場合じゃありません!!」

「騒がしいな、むし歯吉・・・・。
落ち着いてものをいえ・・・・ムニャムニャ・・・」

「それが・・・・、あのぼうちゃんが・・・・
勇気を出してしまって・・・・
歯医者で口をあけてしまったようです」

「早く言えっ!! みんな、いそいで、にげるぞ!」

「だめです、大王サマー・・・アー・・・
けずられていく・・・さようならー・・・」

「むしばきちー!!
しまった、手遅れだ、もう敵は迫っているぞ。
あっ! ぐちゅぐちゅこうげきだ・・・・」

「ぼうちゃん、よくお口の中を見せてくれたね。
えらいね。
これで虫歯菌もバイバイしたから。今度はきちんと歯を磨いてね」

「はーい先生」

お母さんは、にこにこ。
ぼうちゃんも、にこにこ。

ご飯や、おやつをたべたあとは、
ぼうちゃんは、つよーいつよーいぼうちゃんマンに変身して
歯ブラシで、毎日虫歯菌と戦っていますよ。

みんなはどうですか。

そういえば・・・
ぼうちゃんのお口に住んでいたむし歯吉と、大王様は、というと・・・。

小さくなって元気がありません。
歯磨きの嫌いな子供のおくちをさがしてたびをしているのですって!

「はやくごはんがたべたい・・・」

みんな気をつけて。
虫歯吉と大王様が狙っていますよ。

おしまい

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