ゴミ収集車のシュウ太くん 第一話

「オラーイ、オラーイ、スト~ップ」
ブ~~ン ブ~~ン

今日も、ゴミ収集車のシュウ太くんは、
職員の上田さんと、運転手の城太さんとで
一緒に気持ちよく、町をきれいにしています。

「シュウ太くん、今日も絶好調だね」

「上田のおじさん、
なんてたって今日はお天気もいいからね。
さぁ、今日も、どんどん働くぞー」

今日も元気な、ゴミ収集車のシュウ太くん。
みんなの町を綺麗にするのが仕事です。

「頼もしいな、シュウ太くん!」

「おじさん、あそこのごみを集めに行こう」

シュウ太くんと、上田さんの息がぴったり合い、町に出されたごみが、
ドンドン、シュウ太くんの口からおなかの中へと入っていきました。

「やっぱり、ごみのないきれいな町は
気持ちいいね、シュウ太くん、
いつもありがとう」

運転手の城太くんが言いました。

「僕一人だけの力だけではできないよ、
上田さんが、一生懸命走って、
ごみを僕に入れてくれて、
城太くんが、安全運転で、
僕を動かしてくれるからだよ。
3人の力を合わせなきゃできないよ」

シュウ太くんが笑って言いました。

「あと、もうすぐで、幸福町のごみがなくなるよ。
さぁ、もう一息!シュウ太くん、よろしくね」

「はーい、まかせておいてよ」

ブーん、ブーん・・・・

シュウ太くんが、張り切って、ごみを口の中に入れました。
幸福町のごみが、きれいに、回収されたときには、
もうすでに、空が夕焼け色になっていました。

「シュウ太くん、おつかれー」

「上田さん、城太くん、
今日もありがとうございます」

シュウ太くんは、上田さんと、城太くんに、
シャワーをかけてもらうこの時間が、一日の中で一番好きでした。
シュウ太くんは、シャワーを浴びたあと、体の隅々まで点検してもらいます。
それから、明日のために、車庫でゆっくりと休むのでした。

小鳥たちが、シュウ太くんのまわりでさえずりはじめました。
朝がやってきました。

ちゅん、ちゅん・・・・

「シュウ太くん、おはよう!  気分はどう?」

「絶好調だよ! さぁ働くぞー」

シュウ太くんが起きたとき、
上田さんと、城太くんも出勤してきました。

「シュウ太くん、今日も頼むよ」

「はい、まかせてください」

シュウ太くんは、朝ごはんのガソリンを
おいしそうにたっぷりと飲みました。

「いい飲みっぷりだね、体調はいいね」

と、運転手の城太くんが、
点検しながらニコニコしながら言いました。

「パワー全開。
さぁ、きょうはどこへいこうかな。
たのしみだな、わくわく」

オラーイ、オラーイ、ストップ!
ブーン、ブーン

シュウ太くんは、たくさんのごみを体の中にどんどん入れました。
シュウ太くんが、通った道は、ピカピカになって
すがすがしい空気になります。

「シュウ太くん、ありがとう」

町の人たちは、シュウ太くんが、大好きでみんな声をかけてくれました。

いつものように、シュウ太くんは、車庫で眠っています。
町の人たちも、みんなぐっすり眠って、楽しい夢を見ています。

そんな夜中の出来事です。

妖しい男の人が辺りをきょろきょろ見回しながら、
手には大きなゴミ袋を持ってごみ置き場にやってきました。

そして、
手に持っている大きなごみをそっと置いたかと思ったら
いちもくさんにどこかにいなくなってしまいました。

これは大変! 不法投棄です!
シュウ太くん、たいへんよ!
早く気づいて・・・・・!

翌朝
シュウ太くんは、いつもと変わらず、
元気いっぱいガソリンを飲んで、エンジン全開です。

早くごみを集めたくってしかたがなくって、
上田さん、城太くんをせかしました。

「点検、まだ~ぁ~・・・・・
早く町に行こうよ」

「まってよ、シュウ太くん!
そうあわてるなって。点検異常なーし」

点検が終わると、シュウ太くんは、鼻息をフンとならして出発しました。

「今日は、燃えるごみの日だよ。
今日も一日、シュウ太くん、よろしく!」

「はーい、まかせて!」

シュウ太くんは、頭のスイッチにもえるごみと入れました。
シュウ太くんは、いつものように体をブーンブーンと鳴らして張り切って、
ごみを体の中にどんどん入れていきました。

そのとき、
突然、シュウ太くんのエンジンの音が、ぶ・・・・ぶ。。。。、ぶ・・・・と
鈍い音に変わりました。

「シュウ太くんのエンジンの音が変だな」

すぐに運転手の城太くんが、異常を感じて、
シュウ太くんを道端に止めました。

「うーん、痛い、おなかが痛いよ。
頭も痛いよ。僕もう動けない・・・」

シュウ太くんが悲鳴を上げました。

「大丈夫か、シュウ太くん、
一度車庫に帰って点検してみよう」

シュウ太くんは、上田さん、城太くんに励まれ、
やっとの思いで車庫に帰ってきました。

「うーん、うーん、僕もうだめだ」

「がんばれ!シュウ太くん!」

シュウ太くんのおなかの中を、点検ました。
驚いたことに、シュウ太くんのおなかの中から、
今日は燃えるごみの日だったのに、
たくさんの空き缶、ペットボトル、お酒のビンが出てきました。

燃えるごみの日なのに、
燃えないごみをたくさん体の中に入れたので、
シュウ太くんの頭のスイッチが壊れそうになり
おなかが痛くなったり、頭が痛くなったりしたのでしょう。

「誰かが、ごみをきちんと分けてなかったから、
シュウ太くんの頭にある
コンピューターが壊れそうになっていたよ」

城太くんが、シュウ太くんをさすりながら心配そうに言いました。

「誰だろう。こまるな。
シュウ太くんが壊れちゃうよ。
誰だきちんとごみを分けなかった人は」

上田さんが、ぷんぷん怒って、
シュウ太くんのおなかの中を掃除しながら言いました。

シュウ太くんは、町を守る大切な車です。
ごみをきちんと分けない、心無い一部の人に壊されたら大変です。

シュウ太くんは、きちんと修理をされ、
また今日も元気に町をきれいにしています。

「シュウ太くん、いつもありがとう!」

町の人がシュウ太くんに声をかけました。

おしまい

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